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猫の魚辞退

タイトルは長続きしないものの例え。映画・読んだ本の感想メモ。追記したり書き直したりも多いからあんまあてにならない。 日付は観た日付とは限らない。

2025'05.06.Tue
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2008'12.08.Mon
獣の奏者 I 闘蛇編獣の奏者 I 闘蛇編
上橋 菜穂子

講談社 2006-11-21
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次の「王獣編」の二巻で完結。
一気に物語の中に読者を引っ張り込む、序盤のスピード感が見事だった。
この作者が生み出すキャラクターは、見事にピンチになればなるほど内に篭るタイプばかりですね。

ラストの、「言いたいことは全部書き切ったんだな」というのは分かるんだけど、でももうちょっと後日談を書いてくれても・・・な切り方がストイック過ぎてくらくらした。
なかなかここで切る勇気は出ないけど、でも、ここで切らないと、テーマに読み手の焦点が合わないような気は、確かにする。
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2008'12.05.Fri
鹿男あをによし鹿男あをによし
万城目 学

幻冬舎 2007-04
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杉並区では結局予約の順番が回ってこないまま引っ越してしまったのだけど、転居先では案外早く獲得。
ドラマを見終える前に、オチを知ってしまった・・・。

とはいえ、原作のアレンジの仕方が結構「なるほど、ここをああした方が確かにドラマ的には華やかだよなぁ・・・」と思わされる部分ばかりで、なかなか頑張って作ったドラマであることだと感心。

新任教師が、やったことをいちいち生徒たちに黒板に書かれて煽られる様は、『坊ちゃん』にそっくり。
マドンナが登場したり、「大いに」という言葉が多用され(過ぎ)ているあたりも『坊ちゃん』だなぁ。
で、何か意味が・・・?(別にいいのか)

飽きずに読み終えたけれども、あまりにも文字で書かれている以上のことが描かれていなくて、残らなさ具合にびっくりした(別にいいのか)。
なんだか、ドラマの方がむしろ尾を引く感じがするのが不思議だなぁ。
2008'12.05.Fri
ギフト (西のはての年代記 (1))ギフト (西のはての年代記 (1))
谷垣 暁美

河出書房新社 2006-06-21
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『ギフト』という言葉は、カタカナ語だと意味が狭く限定されてしまっているので、タイトルを聞いてぱっと浮かぶイメージが、作者の意図する所と離れてしまうのが、なんだか残念・・・。
同じタイトルの、ケイト・ブランシェット主演の映画もありましたっけ(そちらでは主人公が持つ霊感を差していた)。

『千古の闇』のシリーズの世界が、自然環境に合わせて出来上がる生活習慣を、細かく作り上げているのに対して、ル・グインが作り出す世界は、最初に言葉ありき、のような感じがする。集団によって異なる、言葉のなりたちや、ものの考え方、信じているもの、常識、などなどの文化を、一から作り上げて、別世界を構築する。

物質的なもの、精神的なもの、どちらも合わさって、人間の文化は出来上がっていくものだけれど、書き手によってアプローチは違うものだなぁ・・と感じた。
(どちらの作家も、異世界を土台から構築していくのが上手くて、そこが面白いのだけれど、作り方の土台が全然違う、と思うのだが上手く書けない・・・)

危険な才能を受け継いだとのことで、目を封印された少年の物語。
ゲド戦記とは全く違う世界の物語とはいえ、土台にあるものは同じように思う。
ひたすらに自分対自分。ちゃんと向き合うまでの物語。



小説、世界の奏でる音楽小説、世界の奏でる音楽
保坂 和志

新潮社 2008-09
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これは挫折したモノ。

だらだらとあちこちへ飛んで行く人の思考の連なりを、そのまま書き起こしたような文章、というのが著者の特色な訳だけれど。
きちんとした文章にならずに、あっちこっちへ飛ぶ思考というのは、一人称の小説では、ある程度のリアルさを持って受け止められるのだけれど、評論でそれをやられてしまうと非常につらい。
だって考えが堂々巡りをしたり、あちこちに飛んだり、連鎖して遠くまで広がったりは、誰だって頭の中でやっていることで、それを整理してすっきりと見せるのが難しいからこそ、人がそうやって書いたものを読んでみたいわけで(私は)。
他人の脳内ぐるぐる連鎖にまでは付き合いきれないですよ。

猫のことを書いた、随筆っぽい部分以外は読み飛ばしてしまった・・・。
2008'11.18.Tue
ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫)ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫)
米原 万里

文藝春秋 2005-06-10
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著者のエッセイはたまにお下劣過ぎることがあるので、本書はタイトルから勝手に敬遠していたけれども、動物モノと判明したので手を出す。
最初のページの猫、犬、うじゃうじゃ家族写真にもうめろめろ。猫~猫~。
こういうのを読むと、猫をもう一匹・・・とうずうずしてしまう。飼わないけれど。
文章のスピード感、描かれている内容の、一度決めたらまっしぐらなスピード感。びゅんびゅんと読み終えた。

ペットモノは必ず泣いてしまうけれども、何故か本書はどんな事象を描いていてもさらさらしていて、「生命の営みの当たり前さ」みたいな気分でするりと読めたのが不思議。

恐らく連載の途中までをまとめた本なのだろうけど、ココで切るなよッ!という所で終えられていたのが不満。
続きはこちら↓みたいですね。

終生ヒトのオスは飼わず終生ヒトのオスは飼わず
米原 万里

文藝春秋 2007-05
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2008'11.17.Mon
嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)
米原 万里

角川書店 2004-06
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著者が子供の頃に通っていた、プラハのソビエト学校での同級生の行方を、大人になってから追う話。
親の思想や、民族や、東欧情勢の変化に翻弄された3人の女性の人生が浮かび上がるのです。

定評があるとおり著者の文章はユーモアたっぷり、生き生きと上手いし、子供の頃の記憶も鮮やかで、ノンフィクションなのに、面白い児童文学のようでもあり、人探しの過程は推理小説のようでもあり、社会の動きと少女達の人生がシンクロしていく流れは歴史ドキュメントのようでもあり。
贅沢なエンタテインメントでした。


人との繋がりは大事にしなくては、とはいえ、ついつい「今の生活」にかかりっきりになってしまうのは、誰だって覚えがあること。
それによって逃してしまった物への後悔とか、大人になってようやく理解した友達の言葉や行動の裏にある事情に、通勤電車で読みながら毎日涙していた。


そうそう、スロベニア人は西洋コンプレックスが強く、その分、東洋人への差別意識が強い、というくだりがあって、仙台にいたスロベニア人監督を思い出したり。
すごく差別的発言が多かったという話で、そこも嫌われた理由らしいんだけど、まあ、それなりのバックボーンはあったのかなぁ、とか。
でも、スロベニアの言葉でどれだけ日本人の陰口を叩いても(あれだけフロントが協力しなかったわけだから、愚痴りたくなる気持ちも分からないでもないし)、通訳がバラさなければバレなかった。
言葉によるコミュニケーションを通訳にゆだねる、というのは、とても怖いことなのだなぁと、全然関係ないことも考えたりして。
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