2008'11.17.Mon
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著者が子供の頃に通っていた、プラハのソビエト学校での同級生の行方を、大人になってから追う話。
親の思想や、民族や、東欧情勢の変化に翻弄された3人の女性の人生が浮かび上がるのです。
定評があるとおり著者の文章はユーモアたっぷり、生き生きと上手いし、子供の頃の記憶も鮮やかで、ノンフィクションなのに、面白い児童文学のようでもあり、人探しの過程は推理小説のようでもあり、社会の動きと少女達の人生がシンクロしていく流れは歴史ドキュメントのようでもあり。
贅沢なエンタテインメントでした。
人との繋がりは大事にしなくては、とはいえ、ついつい「今の生活」にかかりっきりになってしまうのは、誰だって覚えがあること。
それによって逃してしまった物への後悔とか、大人になってようやく理解した友達の言葉や行動の裏にある事情に、通勤電車で読みながら毎日涙していた。
そうそう、スロベニア人は西洋コンプレックスが強く、その分、東洋人への差別意識が強い、というくだりがあって、仙台にいたスロベニア人監督を思い出したり。
すごく差別的発言が多かったという話で、そこも嫌われた理由らしいんだけど、まあ、それなりのバックボーンはあったのかなぁ、とか。
でも、スロベニアの言葉でどれだけ日本人の陰口を叩いても(あれだけフロントが協力しなかったわけだから、愚痴りたくなる気持ちも分からないでもないし)、通訳がバラさなければバレなかった。
言葉によるコミュニケーションを通訳にゆだねる、というのは、とても怖いことなのだなぁと、全然関係ないことも考えたりして。
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