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猫の魚辞退

タイトルは長続きしないものの例え。映画・読んだ本の感想メモ。追記したり書き直したりも多いからあんまあてにならない。 日付は観た日付とは限らない。

2025'05.07.Wed
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2008'08.07.Thu
悪人悪人
吉田 修一

朝日新聞社 2007-04-06
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物語はなんとなくいびつだけれど、ぐいぐい引っ張られる力があり、何より人間を描こう描こうとしている感じがよかった(昨今の粗筋小説みたいなのにはうんざり)。
この作家さんは、もう少し年をとったら凄い物を書きそうな気がする。
これからも読もうと思う。

新聞連載の時には束芋が挿し絵を描いていたのに、一切再録されておらず、勿体ない・・・。

本当に個人的意見として、"悪人"像から『天上の青』を思い出した。
全くかぶらないんだけど、何でだろう。
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2008'07.24.Thu
ぼくには数字が風景に見えるぼくには数字が風景に見える
D. タメット 古屋 美登里

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サヴァン症候群(『レインマン』のモデルもそう)、アスペルガー症候群(『モーツァルトとクジラ』で扱ってた)の著者による自伝。

数学と語学の天才で、恐るべき記憶力を持ち、円周率暗唱の記録を持っていたり、1週間で外国語を習得できたりする反面、他人とのコミュニケーションが上手に取れない。
まあそんな特殊な症状なり能力の話は、案外どうでもよく。
主人公が、自分のできること、できないこと、そして、一見できなそうなのだけど、頑張ればなんとかなりそうなことを、一つずつ見極め、挑戦を続け、自分の人生を切り開いて行く様子が素晴らしかった。
それって別に障害とは関係なく、誰でもやらねばならないことなのだけど、結構できていないんだよね・・・(自分も頑張らないとなぁ)。

主人公の周囲の人達の愛情溢れる様子にも、心洗われた。
特に、貧しくてもとことん息子に愛情を注いで育てた御両親が素晴らしい。
そう、世界はやっぱり、それなりに思いやりに満ちていると思う。思いたい。
(百万円と・・・みたいな事態がそうそうあってたまるもんですか!)
2008'07.24.Thu
シェル・コレクター (新潮クレスト・ブックス)シェル・コレクター (新潮クレスト・ブックス)
Anthony Doerr 岩本 正恵

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群馬独り旅のお供に持って行った短編集。
全編、孤独を「よいもの」とするスタンスは、独り旅にぴったり。

この訳者が手がけた本は面白いかも?と最近思い始めた。
『世界の果てのビートルズ』、『四月馬鹿』、『ノーホエア・マン』、そして本書もとてもよかったので。

自分の中にある、山の中や雪の中、海辺に一人で佇んで、かすかな物音に耳を傾けながら、周囲に静かに静かに溶け込む感覚が、呼び覚まされる感じがした(田舎で育ったからこその感覚でしょう)。
2008'07.24.Thu
らも―中島らもとの三十五年らも―中島らもとの三十五年
中島 美代子

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中島らも夫人が、夫について語った本。
思っていた以上に、二人の暮らしはずるずるのぐだぐだだったんだなぁと思った。
金銭面でかなり親に頼りつつ、酒と薬まみれのラリラリ生活。
破天荒な生活ってやっぱ親のお金があってこそ成り立つのかしらん。

・・・まあだからって、中島らもの仕事が色褪せることもないし。

同性としては、作者が愛人(わかぎえふ)を見下ろして、「私が一番彼の事を分っていたし、結局最後、彼は私のところに戻ってきたでしょう?」といわんばかりの、「本妻宣言」じみた自意識が透けて見えていて、その辺が下世話にも面白かったり怖かったり。

どういう風にするのが、相手の事を一番想ったやり方なのか、というのは、永遠に答えは出ない訳だけど。

アル中で肝臓ボロボロの人に対し、
頑として飲みたがっている酒を与えず、治療に専念させる、というやり方(わかぎ)と、
彼自身が飲みたがってるなら飲ませればいい、というやり方(妻)。

よく、前者は「自分が彼に生き延びて欲しいからなだけで、本当は相手の立場に立っていない」と言う人がいるけれど、後者も「彼のしたいことをさせてあげている、彼の事を一番よく分っている私」と悦に入れる訳だから、どっちも自己満足を含むんだと思う。
だったら生き延びさせる方が、私はいいと思うんだけどなー。
2008'07.16.Wed
さよなら僕の夏さよなら僕の夏
レイ・ブラッドベリ [訳]北山 克彦

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『たんぽぽのお酒』の後日譚。
というか、もともと書いた『たんぽぽのお酒』の原稿には入っていた部分で、出版する時に「長過ぎる」ということで、お蔵入りしていたらしい。それを何年も何年も温め温め、ようやく出版に至ったという事情が。
キラキラした少年時代から、ちょっとだけ大人への一歩を・・・という部分だけ抜き書きしてあるので、やや中途半端。たぶん、『たんぽぽのお酒』から続けて読んで、丁度なのではないかと思う。

ちょっと違和感を感じたのは、少年たちが「年をとりたくない」「老人になりたくない」と思う所。時の流れに抵抗するべく街の大時計を止めたりするのだけど、子供の頃って、どちらかというと、早くもうちょっと大人になりたいと思わなかったけ?
お酒も飲んでみたい、タバコも吸ってみたい、デートもしてみたい、好きな物を思い切り食べたい、勉強しろって言われなくなりたい・・・。

・・・いや、そんなことないかなぁ・・・。

ちょっと少年の視点よりも、年をとった作者の視点が勝ち過ぎてる気がしたのだけど、私の方が子供のころの気持ちを忘れてしまっただけかも知れない。
「ずっとこのままがいい」なんて思ったことあったかなぁ・・・。
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