2008'04.24.Thu
![]() | 夏の涯ての島 (プラチナ・ファンタジイ) イアン R.マクラウド 浅倉 久志 早川書房 2008-01-09 売り上げランキング : 94002 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「これを読んだあなたにはこれもオススメ!」リンクを辿って辿って行き着いたSF短編集。
タイトルが素敵ではありませんか。
入っている物語は、大戦でドイツが勝利した世界モノ、人間が都合に応じて色んなものに変身できる世界モノ、戦中の迷信モノ、男性が極端に少ない異星モノなどなど、バラエティに富んでいて、読みやすいものも、全く入り込めないものも。
納屋の奥に放り込まれていたサッカーボールの正体は実は・・・っていう変身モノが一番面白かった。
表題作は、楽しみに最後に取っておいたら、なんともやりきれない話でした。
ゲイものはちょっと苦手なんだよなぁ・・。
この作家の「たちこめる哀しみや諦観」に、ハマる人はハマるのかも。
良くも悪くもイギリスっぽい作風でした。
PR
2008'04.15.Tue
![]() | 愛しのグレンダ 野谷 文昭 岩波書店 2008-01 売り上げランキング : 284826 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
アルゼンチンの作家の短編集。
この人の作品の、熱帯夜に見る悪夢みたいなもわーんとした空気が好き。
幻想譚あり、メロドラマあり、サスペンスあり。
ちょっと一冊としては幅が広過ぎた感じもしたけれど、短編としてどれも美しく、楽しめました。
ちょうど昨年、山形ドキュメンタリー映画祭で、アルゼンチンの恐怖政治時代がテーマの作品を観ていたので(連れ去られたきり行方不明になってしまった母親の消息を、成長した息子が追う話でした)、それが背景にある短編の空気感がすんなり理解できて、「おお、こうやって何かが積み上げられて行くよ」と自分で密かに嬉しかったり。
2008'04.08.Tue
![]() | 赤い長靴 (文春文庫 え 10-1) 江國 香織 文藝春秋 2008-03-07 売り上げランキング : 23731 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
最近すっかり敬遠してしまっていた江國香織。
これは表紙の絵が凄く気に入ったので買ってしまった。
井上信太。羊飼いプロジェクトっていうのをやってるみたい。
表紙はさておき中身。
何でこの人の描く「結婚後の男性」はこんなに魅力がないのでしょう。
で、びっくりする位魅力がなくなった夫に対し、妻が感じている残酷な諦観が実にこちらを絶望的な気分にしてくれるんだけど。
もう大人なのでそこまでケッコンに夢はないわけですが、それにしたってもっと、素敵なコトだってあるように思う、いや、思いたい。
この人の夫婦モノとか妻たちモノって、読んでいると人生観がツマらなくなる心地がしてうんざりする。
なんでこんな作家になってしまったんだろう。
文章や言葉の選び方は好きなのだけど。
連作短編である本書の最初の『東北新幹線』で、「検札がすみ」という表現に、「東北新幹線には検札がないぞー!」とすかさず突っ込む東北人の私(自動改札が検札の役割をするので、指定席なら、間違った席にでも座っていない限り車掌さんに声はかけられない)。
東北について、「草木の勢いに目をみはった」っていうのも、東京の人はそうなのかなーなんて思った。自分の目には、東北の植物はしぶとい静かな感じで、九州の植物の勢いの方がスゴイと思うけれど、そもそもそんなに植物が身近にない人だと感じ方が違うのかしら。
2008'03.30.Sun
![]() | The Arrival (Boston Globe-Horn Book Awards (Awards)) Shaun Tan Arthur a Levine 2007-10 売り上げランキング : 23742 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
これはジャケ買いでした。
五十嵐大介ブログにフランスのアングレーム漫画祭に招待された話が載っていたので、漫画祭公式サイトを探してみたところ、この本の表紙がトップページに(賞を獲ったかなにからしい)。
面白そう・・・!とamazonで探して買ってみました。
英語版なら読んでみせるさ!マンガだし!と、意気込んだところ、
セリフ一切ナシ。
ははは。
とはいえ豊かな世界観を持つ素敵な話で、買ってみてよかったのです。
異世界が舞台で、レトロSFみたいな雰囲気。
物語は主人公の男性が、家族と離れて異国に出稼ぎに行く所から始まります。
文字もろくに読めない外国で、家を探し、仕事を探し、見たこともない食べ物や習慣にびっくりしつつ、徐々に自分の生活を作っていく話。
この世界では「ダイモン」とはまた違うけど、変な生物が一家に一匹つくきまりのようで、主人公も見つけた新居で、表紙に載っている生き物と出会い、行動を共にするのです。
これが結構色々助けてくれたりして、かわいい。
異国でひとりぼっちの時にこういうのがいてくれたら心強いでしょうね。
![]() | ユゴーの不思議な発明 金原 瑞人 株)アスペクト 2007-12 売り上げランキング : 147442 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
で、引き続き、絵物語。これは文章も多少あり。
映画が発明されて間も無い時期に活躍した、映画制作者であり、マジシャンでもあるジョルジュ・メリエスが作ったからくり人形にまつわる、架空の物語。
ほぼ絵によって物語が進行するのですが、絵コンテよりは丁寧だけど、絵として成立させるには雑然としていて、上のArrivalを読んだ後でもあり、なんとなく世界観にハマれないままでした。
それにしても、amazonの解説の
「アメリカのファンタジー・ファンの間では、「ハリー・ポッターにうんざりしているやつは、これを読め!」を合言葉に、熱い支持を得ています」・・・って。
手先の器用なみなしごの男の子が、駅の中に隠れ住んでいて、
捨てられていたからくり人形をこつこつ修理する話と、
魔法使いの男の子が箒に乗って空を飛ぶ話と、
並べて語る所がアメリカ人だなぁ(偏見)。
2008'01.08.Tue
![]() | みずうみ いしい しんじ 河出書房新社 2007-03-16 売り上げランキング : 171344 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
※謎な感想になっています
手を付けても付けても全く読み進めなくて、挫折続きだった本書を、ようやくお正月休みに読破。
みっつの、どこか繋がっているけどそれぞれ違う世界を描く、連作形式。
二章がほんとうにつらかった。
しんどい時に、混雑している駅の構内を無理矢理歩く時みたいな気分にさせられる。
「こんな風なことを書くなんて、作家はかなりきつい精神状態だったんじゃないだろうか」と心配になるような感じ。
そんなことを思いながら三章に突入したら話はあの「猫ちゃん」のことで、ああ、そういうことか、と、ようやく合点がいったのでした。
こういう時にいつも吉野朔実の『少女漫画家の瞳には三等星の星が光る』を思い出します。漫画家が、人生でどんなことが起こっても、きっと自分は作品のネタにしてしまうのだろう、と苦悩する話。
それでもかかざるを得ない、作家の業、を思います。
ブログ内検索
カテゴリー
最新記事
プロフィール
HN:
sha
性別:
非公開
アクセス解析