2009'02.22.Sun
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キム・ギドク監督、オダジョー主演の『悲夢』を観た。
韓国映画だし、他のキャストは韓国人だし、オダジョーも韓国語を喋るのかしら?と思ったら、なんと彼だけ日本語なのだ。しかも日本人の役ということでもなくて、オダジョーが喋った日本語が、他の韓国人には普通に通じるし、他の人の韓国語も、オダジョーには普通に通じる・・・という、ある意味夢のような世界。
ものっすごい変だったのだけど(敢えてオダジョーにしなくてもいいじゃんなぁ)、まあ、違和感を強く感じるのは韓国人と日本人だけだろうし、もともと本国よりも海外で評価されてる監督さんだから、別にいいのか。いいのか・・・?
もやもやと観ているうちに、そんなことはどうでもよくなった。
男がリアルな夢を観ると、その夢での行動を、男とは全く面識のない夢遊病患者の女性が実際に行ってしまう、という話。
夢と夢遊病のシンクロがどんどんよくない方向に向かう中、二人は知り合い、眠るに眠れない破滅の道へ突き進む。蝶々のモチーフが多用されていて、「胡蝶の夢」も絡んでいるんだなぁ、と思わされる。
この監督の、悪夢的というか、ぐわーんと感覚を持って行かれる感じが好きなのだけれど、本当に本当に痛そうな描写が多いのは難・・・。
それにしても。
初めてこの監督の作品を観たのは『魚と寝る女』(これも最後マジ痛そう)で、ピンク映画っぽい!てか、瀬々っぽい!と思ったものだったのに、今もこの監督さんは独自の作風を突き詰めているのに対し、瀬々敬久は『感染列島』だもんなぁ。
まあたぶん、作家性を保ちつつ、食べて行く、というのは相当難しいのだろうけど、でも惜しい・・・。
この映画の韓国の家並みが実に美しく、韓国って行ってみたいと思ったことなかったけれど、ああいうのなら行ってみたいと初めて思った。
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2009'02.16.Mon
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友達が誘ってくれて、観てきたよ『ベンジャミン・バトン』。
上映時間3時間近く。飽きずに観られることは観られた。
でもすごーく無駄な所や納得の行かない所があって、いまひとつ。
1時間位、余裕で削れたと思う。
大体どうなの?ヒロインとのハネムーン生活さながらの堕落した日々は、やっぱり親の遺産を食いつぶしてたの?
老いて生まれて若返って死ぬっていう特異体質は大変そうだったけど、拾って育ててくれる人がいて、遺産を残してくれる親がいて、女にモテモテで、晩年引き取って世話してくれる人がいて、何て恵まれた境遇!
それにどんどん甘えていく主人公に、見終わってから友達と「若者になってからどんどん堕落して行くって、そもそも男としてあれはどうよ?働けよ!」「おじいちゃんの時の方が(船乗りになったりして)男らしかったよね?」と、非難轟々。
それと、主人公がラスト近く、放浪の旅に出るのですが、インドロケだのチベット(ぽい所)ロケだの、わざわざ挿入する意味不明。お金が余ったのかしら。
「ブラピが行きたがっただけじゃないの?」とさらに非難轟々。
なんとなく微妙でやたら長い映画でしたとさ。
デビッド・フィンチャー、次回作もこんな(ぬるい大作)だったらどうしよう・・・。
2009'02.12.Thu
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昔観て面白かったーッ!と思ったにもかかわらず、それきり観ていないもの再見キャンペーン(?)。
同じ作品を繰り返し見てこそ、「見た」と言えるそうですよ。淀川さんによると。
この映画には、新宿のガラガラの映画館で観賞中に地震があって映画の内容と相まって余計びびった、という記憶もあります。
それはさておき、やっぱりコンパクトで面白いタイムトラベル物なのでした。
みんなが幸せになるように、何度過去に戻って修正しても修正しても、必ずできる綻びがさらに悪い結果を生む哀しさ。
切ないラストにも納得。
やっぱりあれだな、「無駄な経験などない」とかいうのはタテマエで、「出会わない方がよかった出会い」というのも実際にはあるんだろうな。
この作品にはいくつか別エンディングがあるという話で、中でも一番のバッドエンディングが、最も理屈的には納得のいくものになっているらしい。
しかしセルDVDには入っているらしいそのディレクターズ・カットはレンタルにはなくて、代わりに「ハッピーエンド版」「ストーカー版」が監督のコメンタリーつきで入っていた。どっちも監督(二人組)が「これじゃ意味ないよね」「全然学習してないもんね」「今までの努力が水の泡だよね」とボロカスで、じゃあ何で撮ったんだよ・・・と突っ込みたくなる。が、やっぱり「ハリウッドでは試写会アンケートでエンディングを決める」っていう都市伝説は正しくて、何パターンか撮っておく必要があったのかしら。
それで(ハッピーエンド版じゃなく)公開版で決定できたんなら、試写の観客もまんざら御都合主義の節穴じゃないってことか。
次はニューオーリンズ・トライアルあたりを再見しようかな。
サンキュー・スモーキングも面白かった記憶が・・・(中身は覚えていない・・・)。
2009'01.13.Tue
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・・・の映画化『ブラインドネス』を見た。
2009年4本目にしてようやく面白かったー!と言える映画に遭遇。
原因不明の伝染病で、人々が次々に失明していくパニックSF・・・かと思ったら、ジャンル的には寓話って言った方が正しい話だった。
「盲目」は実際は別の何かを指しているのでしょう。
失明者が放り込まれる収容所で起こる悲惨な出来事については、寓話なので話が極端になっているのだろうけれど、実際にはあそこまで酷くはならず、人々はもっと助け合うんじゃないかとは思った。
もちろん、人の中には、「従わせたい人」よりも数多くの「何かに従っていた方が楽」な人がいるのだろうけれども。
何ていうか、宗教観が違う文化の上に成り立つ物語のような気もする。
海の向こうの人達は、私たちよりももっと「絶対的な何か」を求める素地があるのかも。
収容所の独裁者に対して、私が主人公だったらもっと早くコロスんだけど!と思ったのだが、主人公が早く行動を起こさない理由については、パンフレットにあった説明で物凄く納得。
それにしても最近、カップルのうちの女性の方が主導権を握り過ぎると、男性側が異様にしおしおになってしまう、という様子を描いた作品が多くて、何だか気になります。
2009'01.06.Tue
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・・・この実話を原作にした映画『ブタがいた教室』が今年2本目。
教師が食育目的で子供たちに飼育させた一頭のブタ。
そもそもは食べるために飼い始めたものに、子供たちは情を移してしまう。
さあブタを食べるか食べないか?
主演の妻夫木くんは撮影に臨むにあたり、「先生」として子供たちの中に飛び込んだそう。
疑似「先生」と疑似「生徒」が、みんな一緒に過ごして、ブタの面倒を見て、フィクションはノンフィクションになっていく。映画の中で子供たちが繰り広げた「食べる・食べない」論争には台本はなかったそうで、全部子供たち自身から生まれた言葉なんだとか。
テーマは重たいし、子供たちがもうしまいにはオンオン泣きながら話し合う様子は圧巻。
観ている方も色んなことを考えさせられる。
自分は大人だから、大人として、子供にこういうことをつきつけて、放り出すというのも正しいのかどうか、というあたりも考える。
(最後の校長先生の指示は正しかったと思う)
なので、意味のある作品ではあった。
でも、映画としてはものすごーくゆるゆるでありきたりの作りだったと思う。
描くべき所をはしょりすぎだし(家畜に名前をつけることを、どういう過程で許したのか、夏休みの食事はどうなったのか、などなど)、父兄や教頭先生?(大杉漣)なんかはキャラクターが単純過ぎ。これ、もっと違う作り方をしていたら、恐ろしい名作になったと思うんだけど・・・。
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