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猫の魚辞退

タイトルは長続きしないものの例え。映画・読んだ本の感想メモ。追記したり書き直したりも多いからあんまあてにならない。 日付は観た日付とは限らない。

2025'05.07.Wed
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2007'06.21.Thu
■一億百万光年先に住むウサギ 那須田 淳

知らない作家さんだと思っていたけれども、プロフィールを見たらゾーヴァ×ハッケの本の翻訳をした人だった。わー!
表紙の絵にゾーヴァが使われていたのもそういうつながりなのね。
(あてずっぽうに使われるのは嫌だけど、そういうことならなんか嬉しい)

ウサギファンタジーかなぁと思ったらそうではなくて、少年の成長モノ。
頭がよくて、口が達者で皮肉屋で、ものの見方が冷めていて、大人のことも割りと冷静に観察しているけれど、子供としてなす術がないことに対する諦観もあって・・・という、ちょっとカニグズバーグ作品に出てきそうな主人公の人物像がまず気に入る。
人生の状況に応じて変わってしまった親を「こんな人じゃなかったのに」って悲しく見つめている場面では涙が出た。
わー、あるある、こういうこと・・・!

大きな変化に対して無力な存在である子供が、だんだん大人に(つまり世界に影響力を持てる存在に)変わっていく、その過程を描いた物語、と言えるかなぁ。
大人も子供も、不器用ながら相手をなんとか思いやろうとする気持ちに満ちた、いい小説でした。

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ああそうか、現実問題ずっと一緒にいるかどうかは別として、間違いなく記憶には残るわけだから、少なくともそういう意味においては「一生のつきあい」になることはもう決まってるんだ。


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2007'06.18.Mon
■それからはスープのことばかり考えて暮らした 吉田 篤弘

暮しの手帖で連載されていたもの。
作者は、クラフトエヴィング商会の片方。

淡々としていて、穏やかで、美味しいものだらけの小説でした。
主人公が、昔の脇役専門の女優さんに好きな人がいて、古い映画ばかりかかる映画館に都電に乗って通い詰めるところとか。
美味しいサンドイッチのディテールとか。
最後についてたスープのレシピとか。
手巻きの腕時計が出てくる場面とか。
細かい所がよかった。

昔食べた、名前のない、でも夢のように美味しく感じた、色んな食べ物の輪郭を思い出した。

2007'06.12.Tue
2作とも、善きにつけ悪しきにつけ、物事や思いが連綿と受け継がれて行く様子を描いていたような。

■狐笛のかなた

日本が舞台のファンタジーもの。
mixiで「梨木果歩好きがすすめる他の作家の作品」で見たはず。いや、いしいしんじだったかな・・・。

梅の香りも、風も、生き物の気配も、優しい気持ちも、哀しみも、全てのものがかすかに漂っていて、奥歯で噛みしめるとじんわり広がっていくような、そんな感じの文章だった。

終盤は止まらなくなって、わざわざ各駅停車に乗って座って読みながら泣きながら帰った。
これは、すきなひとがいる時に読めてよかったと思った。



■夕凪の街桜の国

前から評判は聞いていて、少しだけ立ち読みしたこともあるのだけれども、心が持ちこたえられない気がして避けていた部分も。
サッカー観戦仲間の間で回っていたので、この機会に借りてみることに。
遠い出来事が一気に身近に迫ってくるスピードの凄さはなんだこれ。



2作続けて読んで、誕生日の翌日は泣きっ放し。

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書くのを忘れていたけど読んでいたもの
■太陽の塔

伊坂幸太郎が仙台を書くような感じで、この人は京都。

日本ファンタジーノベル大賞受賞作なのに、読んでも読んでも自尊心ガチガチの失恋男のストーカー話にしか思えなくて、うわ、気持ち悪いかも・・・と、どきどき。でも、語り口調や小道具がなんとなく面白くてやめられなくて(しかし球状のアレはよして欲しかったなぁ)。

後ろについてた本上まなみの解説がそのままするんと自分の思ったことまんまで、なんだか本上まなみの本を読んでみたくなった。



2007'06.06.Wed
■沢村貞子という人

どんな名文家でも、自分の死ぬ時の様子は書けない。
沢村さんは自分の最期の記録を残すにあたって、なんて素晴らしい書き手を得たんだろうと思った。
プロの書き手の文章では決してないけれど、厳しさとユーモアがナイスミックス。
時折差し挟まれる、傍にいた者としての苦い後悔や、沢村さんを振り回す旦那さんに何度もつく、「コンチクショウ!」「殺してやるぞぉ!」なんていう心の中だけの悪態、今だから思い当たる事や今でも真意が分らない事の周りをぐるぐるめぐる想い。全部全部沢村さんへの愛情と愛着あってのものでありながら、べたべたにも独りよがりにもならないすっきりした目線が気持ちいい。
やっぱり魅力ある人の周りには魅力ある人が降りてくるものなんですね・・・。

2007'06.03.Sun
■私の履歴書〜女優の運命

まめに昔の日本映画を観るようになったきっかけのひとつが、このシリーズの中の山本富士子の連載だった(あとは川本三郎の女優さんへのインタビュー集『君美わしく』もかな)。
同じ連載の杉村春子や田中絹代の回が入ってたので、読んでみた。

特に、田中絹代はなんだか苦手なので(いい仕事してると思うんだけど、なんかこう・・・ふわふわ感が・・・うーん・・・)、読んだら好きになるかなぁと思って。嫌いな食べ物も、しつこくしつこく食べてると好きになったりするじゃない。
・・・とはいえこっちを読んでもどうにも女として好きになれなくて。
ようやく高峰秀子のエッセイに出てきたのを読んで、彼女のつらさやさみしさ、みたいなものは実感できたんだけど。

人としては、全部見えて分っちゃってる人の方が好き、ということかな・・・。

あ、杉村春子は大好きなのだが(母方のばーちゃんに似てるし)、文章はあんまり面白くなかった。他の人が書いたやつ(確かあるはず)の方がいいのかも知れない。
残りはまだ読んでいない。



最近ではこのシリーズ、新藤兼人が書いていて面白かったけど、男としてはズルい書き方だなぁとも思ったりした部分も。

あと、『沢村貞子という人』を拾い読み中。
これはマネージャーさんが書いたもの。
沢村貞子の仕事も、ご本人が書いた文章も、ちゃっきり背筋が伸びる気持ちがして大好きだけど(しかも食べ物の話がホントに美味しそう!)、また他者から見た彼女像も興味深い。
沢村貞子と加東大介がきょうだいって初めて知りました。
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