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猫の魚辞退

タイトルは長続きしないものの例え。映画・読んだ本の感想メモ。追記したり書き直したりも多いからあんまあてにならない。 日付は観た日付とは限らない。

2025'05.06.Tue
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2009'05.19.Tue
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おじいちゃん好きは必見(笑)。

独善的で「俺が法律」「目には目を」なガンコジジイが、隣に引っ越してきたアジア系の母子家庭一家と交流し、ちょっとヘタレな長男の父親代わりになることで、やわらかく変わって行く話・・・として、完璧過ぎるくらいによくできた感動作になっている。

それだけではなく、これはまんまアメリカのこれまでと、これからへの期待を描いてるんだろうと思う。
暴力に物を言わせ、差別的で、世界の法律ぶって、他人のケンカに余計な手を出して事態を悪化させていたアメリカは、これから変わるんだよね?
色んな民族と手をとりあって、非暴力が持つ大きな力でもって次の扉を開けるよね?開けてくれるよね?
・・・という作り手の思いがひしひしと。

イーストウッド演じるガンコクソジジイが、ちょっとずつ心を開いていく場面にくすくす笑い、最後の彼の決断に目をみはりつつ、ああ、これからのアメリカが、こんな風に本当に素敵な国になってくれたらいいよねえと願った。
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2009'04.23.Thu
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・・・の映画版・・・を観た。
まとめて言うならば、大学生がサークル活動を夢中でやる話。他校と試合があったり、OBがしゃしゃってきたり、サークル内恋愛で揉めたり。
ただ、そのサークルが、普通の人には見えない式神を操る「ホルモー」だというのが変わっていて。

うじゃうじゃとした式神を映像化できるのは、今の世の中ならではですね。

もうなんか、サークル勧誘で下級生に驕りまくるのとか、「*時から飲み会やるから来てね!」とか、傍から見たらバカな価値観に大真面目に振り回されるのとか、誰が好きとか嫌いとかで右往左往するのとか、すんごい懐かしい思いで眺めて、普通に楽しんでしまった。
見終わったら忘れた。
2009'03.22.Sun
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これもギンレイで別の日に。
すっかり『レンブラントの夜警』だと思って出かけたら、画家違い・・・。

併映の『ブーリン家』とナタリー・ポートマンが出演かぶってるので、映画館側としてはナタリー祭りのつもりだったのでしょう。しかし、ハビエル・バルデムが出ていたらもう仕方がないのだ。
バルデムはゴヤ役ではなく、異端審問に関わる聖職者の役なのだけど、名前も真っ先に出てくるし、登場すれば全部「もってく」し、もう彼しか見えませんでした・・・。
使いたいけど使いづらい役者さん、という感じが・・・。「脇」になりづらい。

ゴヤは本当にただの傍観者で、関わろう、関わろうとしても、いつも事態は彼をすり抜けて勝手に動いて遠ざかってしまう。それをただただ見つめる。見つめて絵を描く。内側に入らないからこそ、「観察」ができるとも言えるしな。
でも優れた画家や写真家ってそういう性質が潜んでいるのかも知れないなぁとも思ったり。
2009'01.27.Tue
クローンは故郷をめざす』が、今年初めての、2009年公開作品鑑賞。
監督:中嶋莞爾、出演;及川光博、石田えり、永作博美、嶋田久作、品川徹

スチールが綺麗だったから、という適当なで出かけたのでやや不安だったけれど、スチール以上に映像が美しく、ゆったりしたテンポと静かな音声の、映画らしい映画だった。
こういう日本映画、久しぶり。しっとりとした、水分の多い画面は(引き合いに出したらいけないのかも知れないけれど)ちょっとタルコフスキー風。

「面白い!」というのでもなく「おすすめ!」というのでもないけれど、「丁寧に作られていて、(他人はどうか知らないけれど)個人的にはかなり共感のできる、手触りのいい作品だなぁ」という感じ。

タイトル通り、クローンの話。しかも、クローンといえば、身体はオリジナルとそっくりでも、記憶は残らない物語が多いけれど、その技術では、記憶もまるっとコピーできる。

「記録の全コピー」ということは、普段は脳の奥底にあって、意識には上らない記憶もコピーされるのだろうけど。記憶の層の並べ替えも、きちんとしてくれるのだろうか?忘れようとしていた嫌なことも、意識の奥に追いやっていた哀しいことも、ベタ貼りされてしまわないんだろうか?と観ていて心配になったのだが、その後の展開の中で、まさにそれに近いことが問題に。
ああ、大事にしたい部分が、作り手の人と同じだなぁ・・・とすっかり嬉しくなって、それで映画のリズムに入りやすかったのかも。
この作品に漂う、人の魂ってどこにあるんだろう?死んでしまったらどこへ行くんだろう?という思いが、死生観の違う海外ではどう受け止められるのか興味がある。
主人公が、双子の兄弟を亡くしているという設定も上手かった。自分のクローン化に同意した理由付けにもなり、肉体の死と魂について考える入口にもなり。

俳優さんの表情のゆっくりとした変化を丁寧に撮っていたのもよかった。
「夫は事故死したけれど、でもそのままクローン再生される」と知った時の、永作博美のとまどいと哀しみの表情!!!

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この映画を観たのは有楽町のシネカノン。
昨秋、引っ越した時に、これからは銀座や有楽町で映画を観ることが増えるだろう、と、シネカノンのポイントカードを作った。
ところが暮れに、「ポイントカード会員廃止」のお知らせが(会員期間中は割引料金で観られるという救済策はとられる)。
そして系列の渋谷のシネアミューズは名前が変わって、ヒューマントラストシネマになった。

それとは別に、狙っていた日比谷シャンテシネの会員制度も、昨秋廃止に。

なんとなーく、東京のミニシアターの構造はじわじわと、良くない方に変わりつつある気がして、怖いのでした。
2009'01.14.Wed
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ハビエル・バルデム

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ギンレイで下のエントリの作品と続けて観た。
2時間以上あるし、ハビエル・バルデムの51年9カ月と4日におよぶ片思いなんてうっとおしそうなので、別の日に観ようと思っていたのだが、あまりにもつまらなかった映画の口直しに。

たぶん、原作の方が間違いなくずっと面白いのだろうけれども、マルケス独特の、荒唐無稽なエピソードがうねうねと連鎖していく感じは、映画でもよく出ていたように思う。
ああ、南米の、こういう植物や、風景や、音の上に、マルケスの物語はあったのだなぁ・・・と、本だけでは想像が及ばない部分を目や耳で楽しめたし、かなり満足。

それにしてもハビエル・バルデム。

美少女に一目惚れした主人公は素敵な恋文を書き、そこから彼女と文通が始まるわけですよ。途中、二人の仲を反対する彼女の父親に、彼女が遠くの土地に遣られてしまったりするのだけど、それでも手紙や電報を利用して愛の言葉を交わし合い、何年も過ごして、ようやく再会する。
ところが彼の姿を観た瞬間、彼女が手のひらを返す。
「あなたの姿を見た瞬間に分かりました。この愛は幻想だったと。」

しかしそれからも彼は彼女を愛し続ける。
反面、600人以上の女性と肉体関係を持つ。

顔を見た瞬間に愛する女性から手のひらを返される。
しかし3桁の素人女性と肉体関係が持てる。

このどちらの現象にもそれなりの説得力を持たせられる男性像、というのはなかなかいないでしょう。
ハビエル・バルデムっていうキャスティングは凄かった。
後ろから声をかけられて振り向くと、そこに立っているのが、「ひたむきな眼差しで微笑みを浮かべるハビエル・バルデム」であったなら、そりゃあ彼女の気持ちも分からないではない。
かつ、ハビエル・バルデムは気の毒で滑稽でかわいらしく、ちょっとセクシーにも見えるから、そういう人はモテてもおかしくない。

まかり間違ったら、気味の悪いストーカーものにしか見えなくなってしまう微妙な物語が、映画として説得力を持てたのは、ハビエル・バルデムの存在感に拠る所が大きいと思う。
おかげさまで、いい口直しができた。
原作も読んでみなくっちゃ。
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