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猫の魚辞退

タイトルは長続きしないものの例え。映画・読んだ本の感想メモ。追記したり書き直したりも多いからあんまあてにならない。 日付は観た日付とは限らない。

2025'05.06.Tue
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2010'02.15.Mon
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監督: 山本薩夫

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銀座シネパトスは2スクリーンのうちの片方が名画座になっていて、回数券を出しているのです。
通常1300円のところ、5回分5000円で3ヶ月有効。先月パニック映画祭で『吸血鬼ゴケミドロ』と『ブルークリスマス』を観たので、あと3回分消化しなければ・・・ということで、行って来ました山本薩夫特集。
たぶん、作品を観るのは初めて。

社会派監督・・・あんまり興味ないかも・・・と思ったのだけれど、よーく観たらキャストの上位に伊藤雄之助がクレジット。きゃー!雄之助ー!!
エロ丸出しの生臭坊主の役でした。これを観られただけで満足。1963年作。

物語は、架空の町の町会議員が、私利私欲の限りを尽くす話。
議会の昼食にデラックスカツ丼を頼むのはまだカワイイ方で、視察旅行と称して温泉で豪遊したり、会議と称して料亭で芸者遊びしたり。町おこしに温泉掘ろうぜっていう話になって、土地の買い占め合戦を繰り広げたり、泉質をでっち上げたり。
一応コメディ仕立てなのだけれど、下品なオヤジどもの見苦しいぎゃーぎゃー騒ぎに終始するので、非常に疲れました。

私利私欲を貪る人々が、報いを受けるような展開ではなく、悪い奴は悪いまま私腹を肥やし、まっとうな人は追いやられ、すっきり別の道を行く・・・という、まあ、世の中そういうもんだよね、という展開。
ああ、こういうスタンスの"社会派"なんだなぁ、と学習。

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出演: 津島恵子, 東野英治郎 監督: 山本薩夫

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2本立ての、もう1本はこちら。1955年作。

旅回りの貧乏一座の話。興行主が全然お金を払ってくれなかったり、看板役者の女癖の悪さで揉めたり、食事の算段に苦労したり、子供が病気になったり・・・個性豊かな一座の面々が繰り広げる人情話、わー!こういうのスキスキ!(小津安二郎の『浮草』なんかも好き!)これは社会派という訳じゃなく、普通の(というのも変か)話?と思いきや。
一座は炭坑で興行する事に。そこでストライキが勃発。最初は「興行を邪魔するアカどもが」と偏見に充ち満ちていた一座のメンバーだったのが、労働組合員と小屋を共有し、食べ物を分け合ったりするうちに打ち解けて、労働者のための演劇上演を依頼されて・・・という、しっかり社会派の映画に。なるほどー。
ただし、こちらの方がまだ若々しい希望に満ちていて、後味が爽やか。2本目にこっちでよかった。

津島恵子がちゃきちゃきでかわいかったー!
仲代達矢がクレジットされていたので楽しみにしていたら、最後の方で組合員のひとりとしてちょこっと登場。こ、これだけ?

さて次はどれを観よう?
本当は『にっぽん泥棒物語』が観てみたいけど(雄之助〜)、併映の『証人の椅子』がつらそう。
罪も無い人が不当に酷い目に遭う話は苦手なのです・・・(『それでもボクはやってない』も観られない。加瀬亮なのに)。
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[監督]成瀬巳喜男 [出演]高峰秀子

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全員父親が違う一男三女の母子家庭の物語。
あああ、登場人物が、お金にぐだぐだと群がって欲を剥き出しにする話って苦手なのに、観てしまった。というのも、欲望むきだしの兄姉の姿にうんざりしている、末娘役の高峰秀子のクールな眼差しが綺麗だったから。
姉たちが、遣り手だけど嫌らしく腹黒い男を頼って、結局ずるずるべったりになってしまうのに対し、末娘ははとバスのガイドとして自立していて、腹黒男が言い寄ってきてもびしっと突っぱね、独立下宿暮らしに切り替える。で、「いつか本棚を買って、好きな本で一杯にしたい・・・」と夢見たり、隣に住んでいる、ピアノを勉強中の兄妹に憧れたり。
文化系女子だなぁ・・・共感できますよ・・・。

ラストの「産んでくれって頼んだ覚えはないわよ!」「こんなこと言われるなら産むんじゃなかったよ!」という定番中の定番みたいな親子げんかのやり取りも、どんな暴言を吐こうとも、結局のところ愛し合っているのが基本、という描き方でよかった。
親子ってこういうもんだよね、普通(・・・とも言えない世の中だけど、でも自分の生きてる世界では普通だし、これが普通じゃない世界の方がよく分からなくって、たまに困る)。

1時間半ない位の尺なのに濃厚(猫も出てきて!)。映画って本来、この位でも言いたい事はたくさん言えるものなのに!

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そうそう、高峰秀子が乗ってるはとバスの車体の横に「おひとりからお乗りいただけます」とかいう文句が書いてあった。おお、はとバスはこの当時からおひとり様ビジネスを!
2010'02.04.Thu
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出演: 岸恵子.川口浩.田中絹代.森雅之.仲谷昇.浜村純.岸田今日子 監督: 市川崑

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・・・へオマージュを捧げた、山田洋次監督の『おとうと』を観てきました。
姉役が吉永小百合ってキャスティングな時点でもうファンタジーなわけですが。
小さな商店街を舞台にした、ほのぼの人情モノ、という設定も、かなりもうファンタジーなのだなぁ、としみじみ。もうすぐ駅ビルができて、商店街が危機に・・・?という空気も匂わせつつ、そこはしっかり描かずに、はかない幸せな空間で繰り広げられる悲喜こもごも。
商店会長の笹野高史と、町の歯医者さんの森本レオが、薬屋さんの一人娘の結婚祝いにやってくる・・・なんて絵も夢のようだったよ(個人的趣味?)。

とはいえ、自分はどうしても、自分に甘いあまり人に迷惑をかけまくり、お金にだらしなく、何か起きる都度、誰かにお尻を拭いてもらうのに甘え甘えて、なおかつ自分がどんなに恵まれているのか無自覚な、だらだらしたキャラクターというのが苦手で。
しかも、そういうキャラをずるずると許してしまう、というのも苦手で。
一歩引いて、なるたけ感情移入しないようにして、ああ、鶴瓶は演技上手いなあ・・・笹野さんも加瀬亮も素敵・・・などと、なるたけ高みの見物としゃれこんだ。
2009'06.02.Tue
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↑廉価版出てるんですね!

同じ監督の新作、ウェディング・ベルを鳴らせ!を観てきた。
はじからはじまで、難しいことを一切言わない、音楽満載のはっちゃけ嫁取りコメディ。
パワフル〜。
パワフル過ぎて、ちょっと観ていてくたびれた部分はあるにしても、独特の作風は相変わらず楽しめました。

それにしても文化の違いを思い知らされたよ。
へらへら笑ってぶっ放される銃弾の多さにはびびったし(誰も死なないにして)、悪者の懲らしめ方もかなり痛そう(ありていに言えばちょん切るわけです)。しかもそれを女性も嬉々として同意するし。

うーん、もう監督本人も政治色抜きで作品作る方向らしいので、ずっとこういう方向で行くのかも知れないけれど、それにしてももうちょっと詩的な方が好みです(同系統なら『黒猫・白猫』のほうが好み)。
2009'05.29.Fri
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出演: 松坂慶子, 岸部一徳 監督: 光石富士朗

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ちょっとなかなかよかった。
大阪が舞台。
とーちゃんが死んですぐに、変なおっちゃんがウチに転がり込んで、かーちゃんとデキちゃった、というお家の3人兄弟の話。
長男は見た目おっさん臭い中学生で、大学生と偽って女子大生とつきあいつつ自分の嘘に悩んでおり、次男は喧嘩っ早いヤンキーで、教師に家庭事情を「ハムレット」と揶揄されて怒り狂ってハムレットを辞書をひきひき読み解き、言われた意味が分かってさらに怒り狂って教師をぼこぼこにし、三男は「女の子になりたい」という願望をカミングアウトする。

それぞれが人生にほんとに真剣で、それは傍目からみたらちょっと滑稽なのだけど、でも笑うなよ!それぞれ大変なんだよ!でも自分でなんとかするしかないさ!誰だってそうでしょう?人生、なかなかいいものですよ!という映画。

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映画化の「良さ」からすると、原作はもっといいのじゃないかしら?と思い、読んでみた。
『少年アシベ』の作者による連作短編マンガ。全編大阪弁。
原作だと、それぞれ別の物語になっているのを、映画化で三兄弟の話にうまーくつなげたんだなぁ、と判明。
映画に出てきたエピソード以外にも、周囲に上手くなじめない生意気な文学少女や、母親のネグレクトにより施設で育ったキャバ嬢や、ふわふわと駆け落ちしてしまった若奥さんや、急に寝たきりになってしまった暴力夫などなど、主人公のバリエーションも豊か。

一編一編は短いのだけれど、そこにぎゅぎゅっと凄まじいまでの「人生」が描かれていて、泣きながら3冊読み切って、さらに読み返して泣いて。
つらい話も多いのだけど、それでも人って強いし、優しいし、いいものだと、前が向ける読後感。
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