2008'07.14.Mon
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指が6本あり、数学と文書偽造の天才で、薬の過剰摂取歴を隠すために次々と名前を変えてきた男が、オーバードーズで担ぎ込まれた病院で、自らの頭脳と経験を駆使して精神鑑定士を欺こうとする話。
カウンセリングの会話の合間に、主人公の過去や名前を変えなければいけない事情が挟み込まれる。
そして、アメリカの医療制度、教育制度、刑務所事情の問題も浮き彫りに。
考えようによっては、悲惨な話。
主人公は、家庭環境もよくないし、指の数で苛められ易く、並外れた天才性のせいで特殊学級に入れられたり、犯罪を犯さざるを得ない状況下に陥ったりと、悲劇的な部分が多い。
ただ、そういう状況をめそめそ言い訳にする小説のほうが多い中で、この主人公の、何かのせいにせずに、能力めいっぱい使って生き延びよう、逃げ延びようとするパワーが美しくって。
↑タイトルのセリフを何度も繰り返し、自虐ユーモアは吐いても(解説にもあるように)自己憐憫はなし。
ウソツキの犯罪者を、読んでいる方はどんどん好きになれるのだった。
物語が大きく動いてからは、「この残りページ数でちゃんと終わるのか?」と、左手の中でどんどん残り少なくなるページにはらはら。
そして光が差し込むようなラスト。
面白かったー!
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