2009'12.09.Wed
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2009年ベスト、などが出てくる時期だけれど、2009年どころか、今までの人生で映画館で最も泣いた映画といえば本作でした。
観たきっかけは、監督がカサヴェテス(息子)で、主人公の、姉に臓器提供をするべく遺伝子操作によって生まれた女の子を演じているのが、『リトル・ミス・サンシャイン』のあの子だったこと。
そしてよく観れば、白血病を患う姉役は、『ミディアム』の長女アリエル役の子が演じていた。
死に至る病気に対し、本人と家族、それぞれがどう向き合ったかという話。
病気とどう闘うのか。どこまで粘って可能性を模索するのか。どこから死を認め、いかにそれを迎えるかを考えるのか。いや、それとも、死を認めたら負けなのか。
そうした戦いの中で、やむをえないと分かっていても如何ともし難い、家族それぞれが抱える孤独のやるせなさ。
それから、そうしたつらい状況下で恋愛が人に与える、とてつもなくキラキラしたパワー(この監督さんは恋愛の描き方がいつも素敵)。
出てくるキャラクターが、自分が猫の病気と向き合って、あれこれと逡巡した全てを代弁してくれているようで、誰の言い分も理解できて、上映時間の9割方、色んなことを思い出しながらおんおん泣いていた。
猫のことがなかったら、たぶん、そんなには泣かなかったし、登場人物の思いに沿えない部分もあっただろう。
特に、キャメロン・ディアズ演じる母親は、「闘う女性」として描かれていて、「ここで死を認めたら負け」という考え方。「もうこの段階にきたら、本人の好きなことをさせて死なせてやろう」という意見を徹底的にはねつけて、取れる手段は全部取ろうとする。
普段だったら共感できないキャラクターだけれど、どうしても大事な存在の死を諦めたくない気持ちだって、物凄くよく分かった。だってどうしてもどうしても死んだら嫌だもの。
そして。
映画が出した結論に、「君のチョイスは間違ってなかったよ」と言ってもらえたような気がして、さらに大泣きしたのでした。
もちろん「正しい」答えはホントはないのだけど、嘘でも一意見でも「正しかったよ」と言って欲しかったのだもの。
何事も観るタイミングだ。
でも普段、映画で自分には体験できないような状況を観ても、一生懸命、登場人物の気持ちに沿おうとあれこれ想像するけれど、それにはやっぱり限界があるのかもなぁ。
残念だけど。
猫の病気の時に、QOLっていう言葉を初めて知った。
クオリティ・オブ・ライフ。生活の質。
ホスピスにおける考え方で、残り少ない人生の質の向上を目指す訳です。
いかに本人がよきように、安らかに過ごせるか。
この映画でも、母親が医師から在宅介護を勧められる場面で出てきた。
母親は鼻で笑って却下するのです。「はぁ?QOLってやつ?冗談じゃないわ」。
私も最新鋭設備の動物病院で、マイタケのサプリメントとともにQOLを説かれ、空々しいものを感じてしまったのだが、ああ、人間も一緒か、と思って苦笑してしまった。
それにしても、エコだってQOLだって、生み出された当初は美しい理念に基づいていたんだろうに、何で胡散臭いものに変換されちゃうんだろう。
単なるキーワード化されて、それを振り回す人が増える割に、本来の理念がどんどん伴わなくなってしまうから、なのかしらん。
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