2010'01.22.Fri
新年初エントリー。
今年もよろしくお願いします(今更)。
新ドラマも拾い切れず、お正月映画もさっぱりな今日この頃、観て以来ずーっと尾をひいて心に残ったままの、NHKの阪神・淡路大震災15年特集ドラマ『その街のこども』。
子供の時に震災を経験して、今は神戸から離れて暮らしている男女2人が、1/16の夜に神戸の街を歩きながら色んな話をする、という、森山未來と佐藤江梨子2人芝居に近いシンプルなドラマで。
1/17早朝の追悼式場面は、当日の実際の様子を撮影したものを使ったらしい(朝撮影した素材を、夜ドラマとして放送)。
女性の方は、震災で親友を亡くしたという設定。男性の方は、震災時に親が法外な値段で屋根修理を請け負って大儲けして(震災バブルってやつでしょうか)、そのせいで神戸の街にいられなくなり、母親も出て行ってしまった、という設定。
「友達を亡くした」というのは、本人からしたらとてもとても大きな出来事でも、家族を亡くしたり、自分の家が壊れたりした人に比べたら、相対的にはささやかな傷になってしまう。大っぴらにぶちまけて悲しんだりすることが憚られるかも知れない。
「親があこぎな商売をした」なんて、無力な子供だったにしても、そこから受けた傷については、それこそ大っぴらには言えない。
言えない傷は、深く深く、ずっと残る。
震災モノというと、絵になりやすい悲劇がクローズアップされがちだ。でも、本当はそれだけじゃない。ささやかだったり、美しくなかったりする傷、癒されないままひっそりと胸の奥に眠る傷は、たぶんもっともっとたくさんあるんだ、と今更ながら気付かされた。
人の気持ちや、人との関係性ががらっと変わってしまうことだって、数多くあっただろう。えげつないことも、たくさんあっただろう(劇中でも「焼き芋1本2000円で売りつける人がいた」って話が出ていた)。15年たって、そういうことにもスポットがあてられるように、ようやくなったんだ。
静かに静かに会話を積み重ねることで、複雑に入り組んだ人の気持ちを描き出す、いいドラマでした。
森山未來が演じた男の子は、父親のやったことを、「それが相場。需要と供給。」と割り切ろう割り切ろうとしながら、どこかで思い切れていないという役柄。
物語の冒頭は、知り合った女性と震災話をしている時に、(観ているこっちも腹が立つ位の)やたら冷めた嫌な物の考え方を示して、彼女を怒らせ、席を立たせてしまう。
その後、再会してもっと話した結果、それが本心ではないと分かるのだけど。
でも、現実に同じようなことがあったら、たぶんドラマみたいな再会はないだろうし、そのまま席を立って、相手の奥にある傷には気付けないまま「嫌なやつ!」で終わらせてしまうのだろうな。
悲しい事に。
自分の最近の仕事上の経験で、性善説なんて馬鹿みるだけだよ!って思いかけたけど、でも、相手の中にあるいいものや、柔らかい部分を拾おうとし続けないと、やっぱりダメだよね、と、人間に対して弱気になってた自分を奮い立たせることもできました。
大友良英さん担当の音楽もとてもよかった。サントラが出たら欲しいな。
今年もよろしくお願いします(今更)。
新ドラマも拾い切れず、お正月映画もさっぱりな今日この頃、観て以来ずーっと尾をひいて心に残ったままの、NHKの阪神・淡路大震災15年特集ドラマ『その街のこども』。
子供の時に震災を経験して、今は神戸から離れて暮らしている男女2人が、1/16の夜に神戸の街を歩きながら色んな話をする、という、森山未來と佐藤江梨子2人芝居に近いシンプルなドラマで。
1/17早朝の追悼式場面は、当日の実際の様子を撮影したものを使ったらしい(朝撮影した素材を、夜ドラマとして放送)。
女性の方は、震災で親友を亡くしたという設定。男性の方は、震災時に親が法外な値段で屋根修理を請け負って大儲けして(震災バブルってやつでしょうか)、そのせいで神戸の街にいられなくなり、母親も出て行ってしまった、という設定。
「友達を亡くした」というのは、本人からしたらとてもとても大きな出来事でも、家族を亡くしたり、自分の家が壊れたりした人に比べたら、相対的にはささやかな傷になってしまう。大っぴらにぶちまけて悲しんだりすることが憚られるかも知れない。
「親があこぎな商売をした」なんて、無力な子供だったにしても、そこから受けた傷については、それこそ大っぴらには言えない。
言えない傷は、深く深く、ずっと残る。
震災モノというと、絵になりやすい悲劇がクローズアップされがちだ。でも、本当はそれだけじゃない。ささやかだったり、美しくなかったりする傷、癒されないままひっそりと胸の奥に眠る傷は、たぶんもっともっとたくさんあるんだ、と今更ながら気付かされた。
人の気持ちや、人との関係性ががらっと変わってしまうことだって、数多くあっただろう。えげつないことも、たくさんあっただろう(劇中でも「焼き芋1本2000円で売りつける人がいた」って話が出ていた)。15年たって、そういうことにもスポットがあてられるように、ようやくなったんだ。
静かに静かに会話を積み重ねることで、複雑に入り組んだ人の気持ちを描き出す、いいドラマでした。
森山未來が演じた男の子は、父親のやったことを、「それが相場。需要と供給。」と割り切ろう割り切ろうとしながら、どこかで思い切れていないという役柄。
物語の冒頭は、知り合った女性と震災話をしている時に、(観ているこっちも腹が立つ位の)やたら冷めた嫌な物の考え方を示して、彼女を怒らせ、席を立たせてしまう。
その後、再会してもっと話した結果、それが本心ではないと分かるのだけど。
でも、現実に同じようなことがあったら、たぶんドラマみたいな再会はないだろうし、そのまま席を立って、相手の奥にある傷には気付けないまま「嫌なやつ!」で終わらせてしまうのだろうな。
悲しい事に。
自分の最近の仕事上の経験で、性善説なんて馬鹿みるだけだよ!って思いかけたけど、でも、相手の中にあるいいものや、柔らかい部分を拾おうとし続けないと、やっぱりダメだよね、と、人間に対して弱気になってた自分を奮い立たせることもできました。
大友良英さん担当の音楽もとてもよかった。サントラが出たら欲しいな。
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