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猫の魚辞退

タイトルは長続きしないものの例え。映画・読んだ本の感想メモ。追記したり書き直したりも多いからあんまあてにならない。 日付は観た日付とは限らない。

2025'05.06.Tue
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2010'01.28.Thu
もうすぐ終わっちゃう!と、急いで『誰がため』を。
第二次大戦下のデンマークが舞台のレジスタンスもの。

特にその題材について思う所があったわけではなく、予告編で暴動か何かが起こっている市街地で、人々が皆、画面の向こう側に走っていくところを、主人公が悠然とこちらに向かって歩いて来る映像がやたら鮮烈で、それだけで気になったもの。
(予告編の一場面にうわ!となって映画を観ることって、よくあります)

で、予習も何もなく観た。
デンマークでは国民的大ヒットを記録した、「今だから描けるタブー」だったらしい。
しかし不勉強な日本人にとっては、デンマークでもレジスタンスってあったのねえ!っていうか、ナチス・ドイツに占領なんてされてたんですね・・・!という感覚。状況や物事の関係性がさっぱり。デンマークの警察ってどういう位置づけだったの?とか、ドイツ軍はどういう形で駐留してたの?とか。とか。とか。

でも逆に、状況を俯瞰できる予備知識がない分、主人公の二人のレジスタンスが味わう閉塞感に添えた気もする。
二人は上司からの命令で、淡々とターゲットを暗殺していたのが、一旦疑問を持ち始めたら止まらなくなり、本当にターゲットは殺すべき敵なのか、本当に自分たちの「殺人」は正しいのか、上司を信じていいのか、誰を信じて、誰を疑えばいいのか、気持ちをゆらゆらゆらゆらさせ、失敗したり、間違った判断をしたり、騙されたりもする。ぐらぐらとした心理状態の中で、誰かにすがりたいのに、信じられると思っていた相手が、ぼろぼろぼろぼろ指の間からこぼれていってしまう、その孤独感。容赦のない現実。

ああ、実際に戦時下でレジスタンス業(?)をやったらこんな風に、状況なんて全く見えないだろうし、格好悪く騙される事も、裏切られることも、疑心暗鬼になることも、「正しさ」がさっぱり分からなくなる事も、あるだろう、そういう中でみんな闘ったんだろうなと、実感できる描き方。
だから、デンマークの人のように「語る事がタブーとされていた国の英雄を描いた映画」として、この作品を観ることはできない外国人も、主人公二人の苦悩に寄り添って、映画を体験する事ができた。

「タブーだった俺達の英雄について、いよいよ映画を撮るぜ!」という時に、こういう風に撮れるデンマークの器って大きいなぁ。


そういうわけで、英雄を決して格好よくは描いていないのだけれど、代わりにビジュアルや映像は実に美しく、まるで佐藤亜紀の小説の実写化みたいでした。
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