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猫の魚辞退

タイトルは長続きしないものの例え。映画・読んだ本の感想メモ。追記したり書き直したりも多いからあんまあてにならない。 日付は観た日付とは限らない。

2025'05.06.Tue
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2009'02.22.Sun
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タイタニックの黄金カップル再び!
それでサイコ・ホラーさながらの、夫婦の崩壊ものってのも何だかブラックだけど。

絵に描いたような「世間が言うところの幸せな家族」を地で行っている若い夫婦が主人公。
安定した仕事についた旦那様、郊外の美しい一軒家、主婦である美しい妻、二人の子供たち。
・・・これってほんとに「幸せ」?と、妻が考えてしまった時に、崩壊が始まるのです。
ツマんない仕事にあけくれる旦那様、退屈な御近所付き合いに振り回される住宅街、閉塞感のあまり鬱屈した妻、早過ぎた妊娠・・・。

旦那様の方は、「親父のようにはなりたくない」と思っていたようなのに、結局父親が勤めていた会社に就職。上司に押さえつけられながらも適当に仕事をし、仲間とも上手く付き合い、適当に浮気もして、ヨメと子供を食わせてやってるぜ!という(自己)満足にも浸って、そこそこ「幸せ」のフォーマットにハマることに満足を感じている様子。

そこに妻から「こんなの結婚前に思い描いていた幸せじゃないわ!」「あなたはもっと素晴らしいことをやる人よ!」「仕事を辞めて海外に行きましょう。そこであなたはやりたかったことをやればいいわ、今度は私が働くから!」などと言われて大混乱。

観ている間中、妻の方に肩入れしていたのです。
で、夫を「この分からず屋!小者!」(これまたディカプリオの小者演技が最高に上手くて)と内心罵りまくっていたのですが、世間の感想を見ると、大概「キチガイ妻に振り回される気の毒な夫の話」なのね・・・。
うーん。たぶん、観る人の人生観が投影されるんだろうな。
ちょっと自己分析ができてしまって怖いかも。

妻寄り視点の方が、ラスト近くの美しい朝食のシーンに漂う恐怖感が味わえた気がするので、まあ。
素敵な朝食を用意しながら夫の反応を試し、伴侶に最後の絶望する妻と、それに全く気付かず、問題は全て片づいたと無邪気に喜ぶ夫。
あのシーンのディカプリオの「善良な無神経さ」ぶりは素晴らしかった。
そしてそこから導き出されるショッキングなラスト。

もちろん、妻も自分のステイタスを夫に丸投げしてる点はズルいのだけど(こんな素晴らしい夫がいる私は素晴らしいって思いたいわけじゃないですか)、50年代の話って考えると、女の就職や離婚など、女の勝手な行動には色々制約があるのだろう。たぶん。

二人のフランス行きに対する周りの反応がずっと印象に残った。

一旦「何もかも捨ててフランスに行く!」と決める訳ですよ。
皆、「イイね!」などと言いながら、なんとなく自分たちの「平凡な幸せ」が否定されたみたいな気分になって(たぶん)、物凄く居心地の悪い顔をする。
友人夫妻が、二人の前では喜ばしいような態度をとっておいて、夜に寝室で旦那さんが「正直あんなの無謀だよな」と言った途端に奥さんが(ほっとして)泣き出す場面がよかった。
で、結局渡航がダメになった途端、何となくみんなほっとした顔をして、「ほんとは無謀だと思ってたんだよね」なんて言う。

みんなの自分の「幸せ」に自信がない様子。
それからラストの、時に大事なのは「見えない振り、聞こえない振りをすること」と言わんばかりのシーン。

映画では明確にどれが幸せか、は描かない。
ただ、「幸せ」が危ういはかない線の上に乗っていることと、それを保つにはある程度の愚鈍さみたいなものが必要なことはありありと描く。
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