2008'07.06.Sun
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さて、そしてロシアンマフィアがギトギトと戦うのを観た後は(銃は使わず、ナイフやら素手なので、余計にグチャドロだったのだ)、口直しに続けてこちらの作品を。
『サンキュー・スモーキング』の監督さんだった(あれも面白かった!)。
うわぁ、英語が分ったらもっと楽しいのに!っていう(たぶん)軽妙な脚本。
セリフ中に固有名詞をちりばめる辺りとか、ちょっとサブカルっぽいというか・・・なんとなく『ゴースト・ワールド』を思い出した。でもあれは観た後、死にたくなるけど、こっちは明るい気持ちで観終えられる辺りがよかった。
とはいえ、『ゴースト・ワールド』があのメガネの女の子に感情移入しまくったのとは違い、この作品では妊娠する16才のヒロインではなくて、ヒロインが生む子供を引き取ろうとする夫婦の妻の方(本当は自分の子供が欲しいのだが、できなかった)にめさめさ感情移入。彼女が、ヒロインのお腹の赤ちゃんに話しかけるシーンは泣いてしまった。
旦那さんがロックスターになりたかったのに・・・という夢を捨てきれずにいるオタクなのだけど、自分もそういう人と付き合ってたし!(笑)
「もう大人なんだし、大人として頑張ろうよ!」という言い分って、もちろん正しいはずだけど、傍目からはああいう風にきっつく、味気なく映るんだろうなー、なーんて思ったり。ははは。
まあでも、諦めきれない夢がある方がまだマシなんだってことも最近学んだけどね(ぼそ)。
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2008'07.06.Sun
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ヒストリー・オブ・バイオレンスの第二弾、というべき作品。
前作のアメリカからロンドンに舞台を移し、今度はヴィゴがロシアンマフィアを熱演。作中のセリフの半分はロシア語(たぶん英語もロシア訛りなのだろうけど、私には分らず・・・)。
なんでも、単身シベリアに乗り込んで、ロシア語やロシアンマフィア文化を実地で学んできたそうな。あの顔でそんなことしたら、ガチで危険な目に遭いそうだけど、無事の帰還何よりでした。
そうやって取り入れてきた、マフィア文化が、刺青やらジェスチャーやら、作中にふんだんに取り込まれているそうで、しっかり作り込まれた世界観で1時間40分、ロシアルートの人身売買を巡るヤクザのぐちゃぐちゃドロドロが描かれる。
濃厚。映画はこの位の尺が好き。
個人的には、「完璧だ!」とほれぼれした前作には及ばなかったのだけど、それでも映画として美しいとは思った。
この監督に特有だった、あからさまなグチャグチャ非現実世界は影を潜め、テーマが日常生活からちょっと路地に入ると存在する、現実の恐ろしい世界や、どの人間の中にも確かにある狂気や変態性の方に、シフトしてきていて、それを、ギリギリの上品さで描く、ひやひやした感じが好き。そして暴力を、あくまでも痛そうで、残酷で、格好良くなんかないものとして描くのも、筋が通っている(観ている方はつらいんだけど、でも正しい)。
ナオミ・ワッツが「こちら側の善意」として存在していて、光のように綺麗だった。
なんだか最近、異国で暮らす東欧コミュニティについて読んだり観たりが多い。
興味がある事って、自然と集まってくるんだなぁ・・・。
2008'07.04.Fri
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サラエボ生まれの作家さんが、英語で書いた小説。
アメリカに滞在中に故郷が包囲されて帰れなくなり、そのまま異国に残らざるを得なくなったのだそう。
大人になってから、本が書ける位までに、異国語を獲得して行くっていうのは、どんな感じなんだろう。しかも実際の状況が全く分からない自分の国を遠くから眺め、ぞっとする新聞の見出しに心を揺らされながら。
今、この人は何語で考えて、何語で夢を見るのでしょう?
ヨーゼフ・プローネクという人物を、色んな角度から描いた物語。
視点が変わったり、突然時代が変わったり、場所が飛んだり。
結果として、何かまぼろしの人物をずーっと真面目に追っかけていたような、誰かの夢に並走していたような、くらくらした気分になって、それが心地よかった。
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本編とはあまり関係ないのだけど、「サッカーの審判が殺されて、肛門をえぐり取られて発見された」という一節が出てきて。
サッカーの試合を観ていて、審判を心から憎む事というのは、多々あるわけですが、こういうことまでしようという発想は、恐らく日本人にはないなぁ・・・などと、変な所でびっくりしたりした。
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「知りたがりやの猫につまずかないように階段を降りた」という箇所が好き。
こっちを見上げながら足元にまつわりついてくる猫の様子が、ありありとね・・・。
つまり作者は猫飼い経験があるね!
2008'07.03.Thu
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試写会に誘ってもらって、アルベール・ラモリス監督の「白い馬」と「赤い風船」の二本立てを見てきた。・・・先月。今流行りの、デジタルリマスターって奴でしょうか。
短いながら二作ともきっちり「映画」で、楽しめた。
「赤い風船」は製作当時(1956年)、まだまだ白黒映画が主流。
その時にこれを観た人々の味わったインパクトや色彩に対する感動を、想像しながら観ないといけないんだろうなー、と思った。
やっぱりいくら「不朽の名作」といわれる作品でも、観る時代によって、人に与えるものは違ってくる。
その作品が他に与えた影響の方を先に観てしまっていることも、よくあるし・・・。
「赤い風船」観て、色とりどりの風船が噴水に飛び込むソニーのCMの方を連想する若人もいるんだろうなー。
「白い馬」は、野生の馬と仲良くなる少年の話・・・という予備知識で観た。
牧場の男たちが馬狩りをして、調教しようとするのだけれど、白い馬はどうしてもなつかない。でも何故か、少年のほうには従う。
で、少年もやっぱりその馬を繋いで飼おうとするのね。
自然のまま置いといて、仲良くする・・・ということにはならないんだなぁ、と。
「従わせる」という発想はやはり西洋っぽいような。
2008'06.28.Sat
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同じ監督の新作、『コロッサル・ユース』を観てきた。
ただ単にチラシのスチール写真が綺麗だったからだ。
暗い画面に、滲みのような光がじんわりと存在している、たぶん自然光のみで撮ったと思われる画。
舞台も背景も全くわからず、奥さんに逃げられた男性が、既に成長して家を出ている子供たちの家を回って、不毛な会話をうだうだしたり、決して出さない奥さんへのラブレターを繰り返し繰り返し暗唱して、人に伝えたりする様子をただ眺める。
なんだか凄く静謐な時を過ごせた。
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昔つきあっていた人が「映画観てきた」と言った時に「何を観たの?」と聞いたら「骨」と答えて。
シンプルなタイトルだなーと印象に残りつつ、その後、何かで会話がうやむやになったのだけど、今思えば、この監督の作品だったんだろうな。
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