2009'03.22.Sun
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森達也が小説の形を借りて、現在のメディアのあり方に警鐘を鳴らした本。
視聴率重視のあまり、ウケそうな深刻なニュースだけを拾い上げて騒ぎ立て、社会の不安を煽るうちに、その不安がどんどん人々の心理に蓄積され、マイナスの大きなエネルギーになって、暴動を引き起こす、という話。
先日森さんがテレビで、「統計上は凶悪犯罪の数は明らかに減っているのに、マスコミの報道の仕方のせいで、まるで増えているような気分にさせられている」というような話をしていて、そうなのかー!と思った(増えているって信じてた)。
そういうことが積み重なって、「世間は危ない」「他人が怖い」「やられてしまう」という不安な心理がエスカレートして、「やらなければやられてしまうからやれ」・・・というエネルギーになってしまう様は、実際、前に読んだ『ボスニア内戦』という実話にも通じる現実的な話なんだよな・・・。
「小説」としての完成度は決して高くはなく、でもメッセージはばりばり伝わってくる、という種類の本。
こういう形がよかったのか、(小説内にも何故か登場する)黒沢清とタッグを組んでの映像化なんかの方がよかったんじゃないのか、とか、色々思う所はあるけれど、価値のある作品だったとは思う。
それにしても、暴動のひとつのきっかけが、ワールドカップのサッカーに日本が負けたこと、というのがサッカーファンとしては非常に悲しく感じました。
国立のPVでロシアに負けたのを観たからってそんなに暴れないよ!(この辺りの点は、サッカーファン視点でも別に書きたいところ・・・)
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