2008'08.07.Thu
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物語はなんとなくいびつだけれど、ぐいぐい引っ張られる力があり、何より人間を描こう描こうとしている感じがよかった(昨今の粗筋小説みたいなのにはうんざり)。
この作家さんは、もう少し年をとったら凄い物を書きそうな気がする。
これからも読もうと思う。
新聞連載の時には束芋が挿し絵を描いていたのに、一切再録されておらず、勿体ない・・・。
本当に個人的意見として、"悪人"像から『天上の青』を思い出した。
全くかぶらないんだけど、何でだろう。
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2008'08.07.Thu
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↑これはノベライズ。映画を観た。
<めも>
*会話が軽妙。どこからがアドリブ?みたいな。
*とはいえ、恐らくは緻密な計算に基づいて演出されているはず。たぶん、セリフ以外でも、風呂場の割れたタイルから人の座る位置まで。
*それはドキュメンタリー畑の監督が培った演出力な訳だから、逆に言うと、ドキュメンタリーというのも演出が大事ということだ。
*平日夕方の観賞は年配の人が多く、まるでフィルムセンターみたいに気楽で和やかな笑い声が絶えなかった(いい意味)。
*観た後、時間がたつごとに「いい映画を観たなぁ」と噛みしめる感じ。
*年を重ねる毎、監督の作風が柔らかくなってきていていい。
*会話が上手いといえば最近観た『ぐるりのこと。』だけど、あちらの会話があけすけだったのに対し、こちらは寸止めというか、愛想はいいけれど、後で思い返すと意味が判ってぞっとするようなものが多い(でもその方が自分にはしっくりくる)。東の人の方が実は意地が悪いのかな(監督の出身地による文化的下地の違い?)。
2008'07.30.Wed
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柳下さんが21世紀の日本映画ベスト10に入れてた作品。
C級グロな独特の恋愛映画。
作りや音楽は本当にチープでしょうもないんだけど、コンプレックスとトラウマと欲望がぐじゃぐじゃになった中で生まれる純愛、みたいなのが、一部の人にはものすごい勢いでキュンと来る映画なんじゃないかとは思った。
あくまで、ごくごく一部の人には。
「少年期に憧れのお姉さんの性行為を目撃してしまってトラウマになる」というシーンを、こういう絵で描くなんて、この監督さんにしか思いつかないだろうなー・・・というびっくりシーンもまた凄かったです。
とはいえ顔の傷の化け物化は、私には正直どうも・・えー・・・(略)。
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この監督さん、『片腕マシンガール』の人なんですね。
なんか色々つながってきた・・・。
2008'07.28.Mon
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キャラクターグッズですっかり容貌はおなじみだったものの、本編は観た事がなかった『チェブラーシカ』4本+同時上映『ミトン』を観てきた。
見慣れた市販のふわふわぬいぐるみチェブに比べ、アニメに使われてる人形が薄汚れてぼさぼさしているのに、今更驚いたり。「けば立ってたね」「なんか汚れてたね」というのが、終映後最初に友達と言い合った感想。アニメ用に動かすのに、素手でべたべた触ってたのかなぁ・・・。
でも、情けない顔や悲しい顔が妙に味があって、ああ、動くのっていいなぁ・・・と思った。
面白いなぁと思ったのが、意地悪なババアの存在。
レギュラーのキャラとして出てくるのだけれど、いつも酷いいたずらや意地悪をして、主人公たちを本気で困らせても、得に報い等は受けないのだ。「意地悪なババア」として、すんなり他のキャラクターたちととけこみ、何をやらかしても、仲良くしてもらっているのだ。
因果応報って東欧にはあまりないんだなぁ・・・なーんて。
それにしても「チェブラーシカ」って言葉をどう区切ると「ばったり倒れ屋さん」になるのだろう。
2008'07.24.Thu
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サヴァン症候群(『レインマン』のモデルもそう)、アスペルガー症候群(『モーツァルトとクジラ』で扱ってた)の著者による自伝。
数学と語学の天才で、恐るべき記憶力を持ち、円周率暗唱の記録を持っていたり、1週間で外国語を習得できたりする反面、他人とのコミュニケーションが上手に取れない。
まあそんな特殊な症状なり能力の話は、案外どうでもよく。
主人公が、自分のできること、できないこと、そして、一見できなそうなのだけど、頑張ればなんとかなりそうなことを、一つずつ見極め、挑戦を続け、自分の人生を切り開いて行く様子が素晴らしかった。
それって別に障害とは関係なく、誰でもやらねばならないことなのだけど、結構できていないんだよね・・・(自分も頑張らないとなぁ)。
主人公の周囲の人達の愛情溢れる様子にも、心洗われた。
特に、貧しくてもとことん息子に愛情を注いで育てた御両親が素晴らしい。
そう、世界はやっぱり、それなりに思いやりに満ちていると思う。思いたい。
(百万円と・・・みたいな事態がそうそうあってたまるもんですか!)
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