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猫の魚辞退

タイトルは長続きしないものの例え。映画・読んだ本の感想メモ。追記したり書き直したりも多いからあんまあてにならない。 日付は観た日付とは限らない。

2025'05.08.Thu
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2008'09.13.Sat
フランス映画の秘宝引き続き。
データ、解説は公式サイトより。

海の沈黙 1947年/88分/35mm/白黒/監督:ジャン=ピエール・メルヴィル
a silence de la mer
ナチ占領下のフランスの田舎で、ドイツ軍に自宅を徴発された老人とその姪は、ドイツ軍将校と同居することになる。フランス文化を愛し、両国の融和を信じる将校は対話を試みるが、二人は沈黙で応対する。本作を見て、J・コクトーは自作『恐るべき子供たち』の映画化をメルヴィルに依頼したといわれる。レジスタンス文学の名作を原作とするメルヴィルの長編第一作。

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これぞ秘宝!!!
もうこれが観られただけで、このイベントに通った価値はありました。

『かくも長き不在』といい、フランスの人は、何も暴力的なことは描かずに、戦争の恐ろしさを伝えるのがどうしてこう上手いのでしょう。
暴力より何より、魂が蹂躙される事が恐ろしいのだ、という価値観がはっきりしてるからかな。

タイトルの出し方もかっこよかった。

男が一人、塀に寄りかかって立っている所へ、トランクを下げた男が近づいてきて、塀の男の足元にトランクを置き、立ち去る。
立っていた男がそのトランクを抱え上げて蓋を開けると、衣類の下に新聞の束があり、さらにその下に一冊の本が入っており、その本の表紙が映画のタイトル・・・という感じ。
原作本自体が、ドイツ占領中のフランスで出されたものだそう。

占領下でも、「ドイツ人は全員ナチ野郎」のような単純化をせずに、フランス文化を愛するよいドイツ人をメインで登場させて、でもそんなの権力の下では別に何の役にも立ちませんよ、という展開にする懐の深さってば。
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2008'09.12.Fri
ボスニア内戦 [国際社会と現代史]ボスニア内戦 [国際社会と現代史]
佐原 徹哉

有志舎 2008-03-13
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旧ユーゴ関連の本を何冊読んだか分からない位なのに、未だにさっぱり何があったか把握できていない。
読めば読むほど分からなくなる。

当事者達も、セルビア人とクロアチア人とムスリムの3民族に分けて、物事を単純化し、権力抗争や戦争の名目に活用していた部分はあるし。
他国も紛争への介入時に、やっぱり同じようにぱっきり分けて、どの民族が正しいだの悪党だのレッテルを貼って理解しようとしていた。
でも実際はそんな単純な分類では済まないわけだし、「正しい事情」は星の数ほど存在する。
そして、民族が3つに分類できようとも、結局、同じような文化の下で殺戮しあったからこそ、事態がエスカレートしたと言えるそうな。

本書は、ボスニア内戦を題材に、「ジェノサイド」について分析した本。
もう誰彼構わず無差別に殺すのは「マス・キリング」で、特定の集団を殺すのが「ジェノサイド」なのですね。知らなかった・・・。

組織立って行われた殺戮も多いのだけど、常々思っていた日常的な嫉みや欲望が(隣の奥さん綺麗だな、とか、向こうのブドウ畑の方が何で儲かってるんだろう、とかそういうレベル)、「民族紛争」を言い訳に爆発した集団殺戮も数限りなく。
規律やら規制やらが外れたり、または何らかの名目が与えられてしまったら、人間は何をやらかすか分からないですね、という事実が一番印象に残った。

今、日本で起きる通り魔的な犯罪って、犯人が「誰でもよかった」と答える事が多い。
本当に「誰でもよかった」のか、何かもやもやとした対象があるのに、それが上手く言えないから「誰でも」になってしまうのか、どっちなんだろう。
今、「格差社会」位しか用語がないけど、その格差に、もっと区別の付けやすい分類方法があったなら、より対象が絞られて、よりピンポイントな犯罪も起こるのかも、などと想像したり。

何事も、分類方法を作って、ラベルを貼って、単純化すれば分かり易くなる。
でもそのせいで物事の本質が見えなくなったり、また、状況が悪化したり、することも多いのだよね。
2008'09.12.Fri
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バットマンのシリーズかぁ・・・。
もう卒業したつもりだったけど、評判がいいから観に行ってみようかな。
・・・というノリで、あまり予備知識も入れずに(3作目までは観ているしね)出かけた所、そこで観たものは私が知っているバットマンシリーズではなかった。
今までのバットマンはリセットされて、前作の『バットマン・ビギンズ』からは全くの新しいシリーズが始まったようでした。

今までの、マンガっぽい部分は削ぎ落とされて、重たいリアリズムに徹底。
より「身近な世界」として観られるように作られていた。
そう、犯罪と狂気が蔓延し、「話せば分かる」がどんどん色褪せて、他人を信用したらやられちゃうかも知れない、今、我々が生きてる世界。
バットマンが、光り輝くヒーローとして存在できない世界。
これでもかこれでもかと、肉体的にも精神的にも打ちのめされる主人公たち。
そして悪役のヒース・レジャーの狂いっぷり。この役柄に魂をすり減らされてしまったのに違いないよ。
この後、続編があるのか分からないけれど、これ以上の悪役は出せないのではないか。

2時間半以上の長尺を一気に突っ走る映画のパワーと、役者さんのパワーを堪能・・・。
リアリズムを突き詰める中、映画的な「希望」のエッセンスの加え方が見事だった。
大きい映画館で観てよかった。

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執事・アルフレッド役が今シリーズはマイケル・ケイン。
眩暈がするほど素敵だったー。
2008'09.10.Wed
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(前のエントリ参照)
そういうわけで、ちょうど文庫化されたので原作も読んでみた。
それにしても、何故レビューで「あまり本を読まない私でもすぐ読めちゃいました!」系の発言がある本って、常にものすごく読みづらいのだろうか。
文章としての言語表現と、そうでない言語表現の間に、深くて幅広い川が流れているのか。

まあそれはいいんですよ、作者は「作家」ではないんだし。
ちょっと映画監督が自作をノベライズした感じと似ていて、作者の中にあるステキなものを、向いていない表現方法で出してしまった、という様相は否めないものの、でもなかなかいい連作でした。
各短編の関連付けもさりげないし、映画化したくなる気持ちも分かる。
あと、前に『イカとクジラ』を観た時にも共感した、「自分にとって物凄く大事な思い出が、それを共有していると思っていた人にとっては、記憶にすら残らない瑣末なことだった、なーんてこと、よくありますよね」、という諦観と、「けどでも人とつながっていきたいものですよ」、がちりばめられているのもいい感じ。

「小説」としては難が残るにしても、この素材をですよ、映像化のプロががっつり料理したら、さぞやステキなものができるであろうと思われるのに、何であの映画なんでしょうね。
宮崎あおいが演じた弁護士さんの役をでっち上げたのはまあ、やむないとしても、原作に漂っていた、諦めと希望を全部裏返して安直ご都合主義にしてしまっているあたり、「テレビのだめさ」を象徴しているような気がしてなりません。
おのれ日テレ。
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宅配レンタルで借りて観てみた。
いくらでも面白く作れそうなものを、よくもまあ、こんなしょうもない映画にしたものだ、とびっくりした。
逆に小説の方が読んでみたくなったよ。

しょうもないくせに、昨今の群像劇のトレンド手法(?)、「最後に天変地異を起こして全エピソードをつなげる」(大地震が起こったりカエルが降って来たり、この映画では台風直撃)を取り入れることで、さらにしょうもなくなったような。
恥ずかしいからやめれ、という感じ。

アキバのオタクのエピソード、あれがないと、話が物凄く古くさくなるのかも知れないけれど、敢えて削った方がすっきりしたかも、と思う。

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これと同時に来たのが『ミディアム シーズン2』の6巻目なのだけど、このシリーズ、シーズン2の方が一話毎の完成度が高くて、ずっと面白い!

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